「部屋がジメジメしてきたし、室内干しの洗濯物もなかなか乾かないから、除湿をしなくちゃ。でも、エアコンにも除湿モードがあるけど、床に置く除湿機とどっちがいいんだろう?」
こういった疑問に答えます。
- 床置きの除湿機とエアコンの除湿量の違いが具体的に分かる
- エアコンの除湿を機能させ続ける上での課題が分かる
- 空気清浄機,加湿器,除湿機など空調家電のエキスパート
- 現在も、空調家電販売の第一線で活躍中
- “空気” が大好きで、休日でも勉強や追求に余念がない
- 根が “健康オタク” でもあるため、「空調家電は健康に直結する」と一貫して主張し、衛生的に配慮のない製品には「使う価値がない」と厳しく意義を唱える
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除湿機かエアコンか?|除湿量は圧倒的にエアコン。ハイパワークラスの除湿機でさえ、除湿量はエアコンのドライ【=弱冷房除湿】にすら及ばない
エアコンの除湿量は外気との兼ね合いが大きいため、一律や具体的な記載が難しいです。
したがって、カタログ等で“エアコンの除湿量は記載していない”事が普通です。
そんな中、データは古いですが、下記のデータに辿り着きました。
です。
現行品のエアコンと比較すると消費電力は全く参考になりません(※現行品の方が遥かに省電力)が、
エアコンの除湿能力のボリュームをざっと把握するためには、依然、有用なデータです。
東京電力/技術開発研究所調査(PDF)
この調査におけるエアコン・モード別の『除湿量の比較』と『コスト比較』という2つの棒グラフの数値を用いて表にすると、以下のようになります。
エアコン・モード別の除湿量と効率性の比較 | |||
冷房運転時 | ドライ運転時 (弱冷房除湿) | 再熱除湿運転時 | |
除湿量 (1時間あたり) | 2.3 kg | 1.1 kg | 1.5 kg |
消費電力 | 480 W | 180 W | 650 W |
効率 | 4.8 g/W | 6.1 g/W | 2.3 g/W |
- モード別の数値が最も低いドライ(=弱冷房除湿)でさえ、1時間あたり1,000g以上除湿している
↓
調査に用いたエアコンは2.8kW
(10畳向け) - リビング向けなど、更に大きな畳数のエアコンがある事を考えると、部屋全体の除湿が期待できそう
では、次は、果たして、除湿機がどれほどの除湿量なのか?を見ていきます。
最も売れている除湿機の除湿能力とは?
※2022/05/12時点(2022/05/05〜2022/05/11)の集計結果
このYDC-C60の除湿能力を上記のエアコン同様、表にしました。
最も売れている除湿機の除湿能力 (YDC -C60) | |
除湿量 (1時間あたり) | 208g (※50Hzの東日本) |
消費電力 | 150W (※50Hzの東日本) |
効率 | 1.4 g/W |
- コンプレッサー式のため、デシカント式と比べると消費電力が小さい事はメリット
(1時間の電気代は約5.5円)
(※電気料金単価は、2023年1月9日〜2月8日の自身の自宅の37.2円/kWhにより計算) - しかし、明らかに能力不足
木造:6/7畳(50/60Hz)、鉄筋:13/14畳(50/60Hz)と書いてあるが、
■部屋全体をこれ1台で除湿する事は全くできない
■狭いスペースや限られた範囲向け程度
一方、除湿機のハイパワークラスの性能は?
ハイパワークラスの除湿機の除湿能力 (MJ-P180TX) | |
除湿量 (1時間あたり) | 645g (※50Hzの東日本) |
消費電力 | 330W (※50Hzの東日本) |
効率 | 2.0g/W |
- 確かに、1時間あたりの除湿量はYAMAZENのモデルと比べ約3倍に上がった(208g→645g)
- しかし、1Wあたりの除湿量は、先のYDC-C60の約1.4倍止まりと効率が悪い(∵2.0÷1.4)
ハイパワークラスの除湿機でさえ、除湿量はエアコンのドライ(弱冷房除湿)にすら及びません。
したがって、『除湿量』という数値で見る限りは、
エアコンがある部屋では、エアコンを使ったほうが効率的!
と言えます。
では、除湿量においてメリットがあるエアコンですが、次は、エアコン除湿の構造を見ていきます。
エアコン除湿の構造|構造を知る事で、エアコン除湿のデメリットが見えてくる
まず、エアコン除湿には2つのタイプがあります。
DAIKIN/『冷房と除湿はどう違う?』
そして、
一般的にほとんどの人が「エアコンの除湿」と言う場合は、左側の『弱冷房除湿』を指す
↓
通称「ドライ」とも呼ばれるモード
冒頭の数字で見たように、ドライ(=弱冷房除湿)でも除湿機を圧倒する除湿量がありました。
しかし、
ドライ(=弱冷房除湿)は、室温を下げずに、常に除湿し続けることは困難
です。
特に、エアコンの効きがいい『高断熱住宅』になると尚更です。
すぐに設定温度に達してしまい、機能しなくなります。(=「サーモオフ」)
下記のように、ドライ(=弱冷房除湿)は、
DAIKIN/『冷房と除湿はどう違う?』
水分(=湿気)を集めるために温度を下げた空気をそのまま部屋に戻します。
言わば、
こうして構造を見ていくと、エアコン除湿(=ドライ,弱冷房除湿)のデメリットが見えてきます。
- 湿度も下がるが、室温も下がる
- 湿度が上がらないようにするには連続除湿が必要だが、それが体感的に難しい
- 室温より低い温度に設定しないと機能しない
- 外気温が約21℃未満の環境では機能しない
- 微調整が効かない
では、1つずつ説明します。
エアコン除湿(=ドライ,弱冷房除湿)のデメリット
デメリット①)湿度も下がるが室温も下がる
これが、一般的に、エアコン除湿を使いたがらない最たる理由です。
除湿機を買いに来る方の話を聞いていると、
「エアコンで除湿しようとすると、寒くなってすぐに消しちゃうのよね!」
という方が多くいます。
先ほどのイラストのように、
室内機の熱交換器の温度を下げ、そこに室内の空気を通す事によって結露を発生させ、その水を室外機を通して屋外へ排出
↓
冷やされた空気は“そのまま”室内に戻される
そのため、室内の空気が冷えてしまうのは、構造上避けられません。
「冷えてしまうから嫌だ」と途中でエアコン除湿を止めてしまえば、それ以上除湿できないばかりか、湿度は元の状態にすぐに戻ってしまいます!
デメリット②)湿度が上がらないようにするには連続除湿が必要だが、それが難しい
住宅は、換気が絶対に必要です。
しかし、外気の流入があると、屋外の湿度が高い空気が流れ込み、除湿効果が維持できません。
仮に、換気効率が良すぎると、1〜2時間もすれば、
となってしまい、除湿効果がなくなってしまいます。
難しいですが、
湿度を外気より低く快適に管理するためには、換気によって室内に入ってくる水分量を減らし、エアコンを止まらないように連続稼働させ続けることが重要
です。
しかし、エアコンを稼働し続けると室温を下げ続けるので、室温を一定に保つには、その分の『熱』を補い続ける必要があります。
デメリット③)室温より低い温度に設定しないと機能しない
エアコン除湿(=ドライ,弱冷房除湿)では、『設定温度』を決めます。
なぜなら、
エアコン除湿は、空気の温度を下げて除湿しているから
です。
あくまでも基準は『温度』で、設定温度近くまで室温が下がると運転を弱めます。
したがって、
まだ部屋の空気はジメジメしているのに、設定温度まで室温が下がってしまったら、エアコン除湿(=ドライ,弱冷房除湿)は止まってしまいます。
現に、空調家電の販売現場にいると、
「エアコンの除湿の方が除湿量は多いですよ!」
と言うと、
「ホントですか?使っているんですけど、イマイチ効いていないような気がして!」
という反応の方が多くいます。
逆に言えば、設定温度を下げれば動き出すものの、その分、部屋は寒くなってしまいます。
デメリット④)外気温が約21℃未満の環境では機能しない
エアコン除湿(=ドライ,弱冷房除湿)だと、除湿したいのに除湿しにくいタイミングがあります。
- 梅雨時の夜間
- 台風時の夜間
こういう時は、“外気温が約21℃未満”という状況が珍しくなく、除湿をしたくても、エアコン除湿(=ドライ,弱冷房除湿)は機能しません。
デメリット⑤)微調整が効かない
例えば、「湿度50%を切ったら除湿を止める」といった細かな湿度設定は、ほとんど全てのエアコンができません。
それは先ほど説明したように、
エアコン除湿は、空気の温度を下げて除湿しているから
です。
すると、
「弱冷房除湿にしていたら夜間の気温低下で運転が止まってしまい、湿度が上がってしまった」
という悩みに繋がります。
エアコン除湿(=ドライ,弱冷房除湿)のデメリットを補い、どんな状況でもうまく除湿する再熱除湿とは?
先ほど、上で示した図ですが、実は、エアコンには右側の「再熱除湿」という除湿方式がついている機種もあります。
DAIKIN/『冷房と除湿はどう違う?』
です。
DAIKIN/『冷房と除湿はどう違う?』
したがって、部屋の温度を下げずに除湿だけできる優れもの。
先ほど、「エアコン除湿(=ドライ,弱冷房除湿)だと、外気温が約21℃未満の環境では機能しない」と説明しましたが、
この制限も再熱除湿にはありません。
特に、外気温が上がりにくい、
- 梅雨時の夜間
- 台風時の夜間
も力を発揮してくれます。
また、
高断熱住宅でエアコンを購入される方は、再熱除湿があるエアコン検討をお勧めします。
エアコン除湿(=ドライ,弱冷房除湿)だと、寒くなって自分で止めてしまうと連続除湿が難しかったですが、
再熱除湿は室温が下がらないので、一日中除湿が可能です。
そんなとても優れた再熱除湿ですが、デメリットもなくはないので見ていきましょう。
優れた再熱除湿のデメリットとは?
主なデメリットは、下記の2つでしょう。
- 初期投資が高額
(∵再熱除湿の搭載機種は上位モデルのみ)
→6畳用でも、現行品だと、最低でも税込14〜15万円以上する - 消費電力が大きくなる
(∵除湿後の空気を室内に送り出す前にヒーターで温め直す)
→しかし、エアコン1台だけで温度を下げずに除湿するためには仕方ない
※コストはトレードオフ
再熱除湿のデメリット①)初期投資が高額
一般的に、単機能の6畳用エアコンだと6〜8万円もあれば買えます。
そう考えると、最低でも税込14〜15万円だと、単純に2倍するので、なかなか誰もが手を出せる金額ではないですし、
また、“全部屋に再熱除湿搭載エアコンをつける”というのも難しいかもしれません。
再熱除湿のデメリット②)消費電力の問題
- 「再熱除湿は電気代が高い」という悪いイメージ
- 超省エネへの時代の流れ
を受けて、再熱除湿を採用しているメーカー自体限られています。
- 日立
『再熱除湿』を世界で初めて導入 - 富士通ゼネラル
- 三菱電機
の3社です。
対比で言うと、ダイキンやパナソニックなど他のメーカーは“再熱もどき”です。
再熱除湿搭載のエアコンの場合、
日立/エアコンHP
注釈で、
(一社)日本冷凍空調工業会による室温が下がらない再熱方式。
ときちんと記載しています。
一方、“再熱もどき”の場合、快適除湿モードだのハイブリッド方式だのメーカーによって呼び方は違い、下記はパナソニックの例ですが、
パナソニック/エアコンHP
注釈で小さく下記のように、
●設定した湿度になるように室内温度を調整します。
そのため使用環境によって室温が下がることがあります。(再熱除湿方式ではありません。)
と分かりにくいところにさらっと書いてあります。
やり方が汚いですよね(笑)
再熱除湿は消費電力が問題視されますが、
DAIKIN/『冷房と除湿はどう違う?』
逆に、“再熱もどき”は消費電力が再熱除湿より低くてもその分除湿量も低くなるので、しっかり除湿するなら、依然、再熱除湿は有意義ですし、
ましてや、室温を維持しながら除湿するには、再熱除湿はむしろありがたがられる存在です。
エアコンで除湿するなら、大事なのは使い分け
①あなたが使っているエアコンに『再熱除湿』がついている場合
使い分けをこのように考えてみましょう。
- 使える時は『弱冷房除湿(=ドライ)』
- 弱冷房除湿(=ドライ)を使うのが難しい時は『再熱除湿』
モデルケース
- 6月(≒梅雨時)
再熱除湿を中心に - 7月
■日中:弱冷房除湿(=ドライ)または冷房
■夜間:再熱除湿 - 台風時の夜間
再熱除湿を中心に
こうして使い分けていくと、消費電力を抑えつつ快適性も保つことができます。
②あなたが使っているエアコンに『再熱除湿』がない場合
おそらく、このケースの方が圧倒的に多いでしょう。
この場合、通常の弱冷房除湿(=ドライ)しかありません。
本記事の前半で説明した使いづらいクセが幾つかあるので、よく理解して使いましょう。
使いづらいクセがあるものの、それでもうまく稼働させれば、“除湿機よりも除湿量が多い”ことは説明しました。
特に、外気温が高い日中は積極的に使いましょう。
【提案】弱冷房除湿(=ドライ)しかない場合の肌寒さを緩和する方法
室内の空気が冷えてしまうのが構造上避けられないのが、弱冷房除湿(=ドライ)でした。
しかし、寒いからといって運転を停止してしまうと、除湿そのものができなくなります。
そこで、
肌寒さを和らげさせながら、極力、弱冷房除湿(=ドライ)を長時間稼働させられれば、それが一番望ましい
です。
一番手っ取り早いのは、重ね着をする事
外出時、女性はカーディガンなどを持ち歩き、肌寒い時には上から羽織っていますが、それを自宅でも行い、もちろん、男性も重ね着をする。
そうしながら、弱冷房除湿(=ドライ)をできるだけ長く稼働させるのが良いでしょう。
ただし、これも説明済みですが、外気温が約21度未満の時は弱冷房除湿(=ドライ)が機能しないため、冷房による除湿を使う事になります。
次は、室温が低下してしまう分の熱を補う方法を幾つか考えてみましょう。
除湿しながら、敢えて同時に室内を暖める
室温を下げながら除湿するのが弱冷房除湿(=ドライ)であり、それによって、室内の熱がどんどん減少していく事で寒いのであれば、
弱冷房除湿(=ドライ)を長時間稼働していても大丈夫なように、適宜、部屋を温める訳です。
考えれば、いろいろ案はありそうですが、ここでは2つ取り上げてみます。
- 敢えて、日射を取り入れる
- ダイソン空気清浄機Hot &Coolのヒーター機能を併用する
この2つです。
1)あえて、日中は日射を取り入れる
夏の住宅環境では日中は日射を入れないのが基本ですが、“除湿を続ける熱を補うためにあえて室内を暖める”という考えです。
そのおかげで、再熱除湿がなくても肌寒さを感じにくく、除湿あるいは冷房の連続運転がしやすくなります。
ただし、
そもそも夜間だと日射がありませんし、日中でも天候に左右され、万能とは言えません!
そんな時は、次の方法がおすすめです。
2)ダイソン空気清浄機Hot&Coolのヒーターを併用する
“除湿を続ける熱を補うためにあえて室内を暖める(=補熱する)”という考えの元では、
「ダイソン以外のファンヒーターでもいいのでは?」
と思うかもしれません。
確かに、"補熱するだけ"だとそうです。
しかし、ここで僕がダイソン空気清浄機のHot&Coolで補熱を勧める理由は
『自動温度制御機能』
があるからです。
使い方は、簡単!
室温が設定温度よりも下がった時だけ稼働し、設定温度を保とうと室内に熱を加えてくれる
↓
あなたにとって弱冷房除湿(=ドライ),あるいは冷房を、除湿目的で長時間続けるのに肌寒くない室温設定をダイソン側で設定しておくだけ!
- 弱冷房除湿(=ドライ)で室温が「23度」を下回った時に、ダイソン側でヒーターが動き始め、23度に達するまで暖めてくれる
- 室温が設定の「23度」に達すると、ヒーター運転は一時自動停止
- また、23度を下回ったら自動的にに再稼働
このように、ダイソン空気清浄機のHot&Coolがあると室温を保ってくれ、弱冷房除湿(=ドライ),あるいは冷房を除湿目的に長時間使う際にネックとなる肌寒さをカバーできます。
また、この場合、積極的に部屋を暖めようとする使い方ではなく、最低限の室温に保とうとする使い方なので、この場合、ダイソンのヒーターとしての電気代は気にしなくていい程度です。
もちろん、ヒーターを併用する事でトータルの電気代は増しますが、その代わり、弱冷房除湿(=ドライ),あるいは冷房を除湿目的で長時間使う場合、うまく除湿ができます。
なお、ダイソン製品の場合、メインが空気清浄機であり、どんなメーカーの空気清浄機よりも群を抜いて清浄の質が高いため、後々の買い替えも見越して購入するのも大いにオススメ!
P.S.空気清浄機としての性能もダイソンがダントツ|日本の空気清浄機ユーザーは必読
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。