シャープ空気清浄機のプラズマクラスター|効果は全くなく人体に有害

シャープのプラズマクラスターを知りたい人

「シャーププラズマクラスターの事を基本から知りたいなぁ」

こういった疑問に答えます。

当記事を読むメリット
  • プラズマクラスターの原理や効果の実体が分かる
  • プラズマクラスターは全く効果がなく、諸々の効果をもたらす張本人は『オゾン』だと分かる
記事の信頼性:僕が書いています!
ワタル
  • 空気清浄機,加湿器,除湿機など空調家電のエキスパート。
  • 現在も、空調家電販売の第一線で活躍中。
  • “空気” が大好きで、休みの日でも勉強や追求に余念がない。
  • 根が “健康オタク” でもあるため、「空調家電は健康や命に直結する」と一貫して主張し、衛生的に配慮のない製品には「使う価値がない」と厳しく意義を唱える。
目次

プラズマクラスターの前身|『マイナスイオン』の歴史から振り返ろう

【マイナスイオンの研究の主な歴史】
1905年、フィリップ・レナードが「水滴が微細に分裂して摩擦することにより、空気が負に帯電している」事が、“健康に良いのでは?”と仮説を立てる。
(レナード効果)
1922年(大正11年)出版『内科診療の実際』で、空気中の陰イオンの総称として「空気陰イオン」との訳語が使用される。(英語では「aero-anion」)
※マイナスイオンは、Japanese English
【日本でのマイナスイオンブームのきっかけ】
1990年代後半〜戦後の高度成長期を経て、花粉症が大いに社会問題化した90年代の日本では健康ブームも相まって、小型で安価なイオン発生型空気清浄機が大ブームに。
【TVが創り上げたマイナスイオンブームの最盛期】
1999年〜2002年情報バラエティ番組『発掘!あるある大辞典』が特集番組を放送。
「マイナスイオン」が2002年の流行語に。

「マイナスイオン搭載商品」が溢れかえった時代。
ピークは2002年
【マイナスイオンブームの終焉】
2003年公正取引委員会の『景品表示法改正』による取り締まり。
(不実証広告規制の導入)
“効果が認められない不当表示”として排除命令が出され、多くのメーカーが蜘蛛の子を散らすように退散。

国民生活センター「マイナスイオンを冠した商品全てに科学的に健康効果が実証されているわけではない」と報告。
2004年マイナスイオン搭載商品は、2002年ピーク時の1/10以下にまで減少
※いかに、いい加減な物が出回っていたかの表れ
2006年東京都生活文化局「科学的根拠ない」とマイナスイオン広告に指導
【マイナスイオンを“ニセ科学もしくは未科学”と表現する代表的な学者たち】
工学者/安井 至氏(1945年〜)
商品化は未科学を科学にしてから
化学者/小波 秀雄氏(1951年〜)
「ニセ科学が流行してしまった理由の1つとして、専門家の言語表現と一般の日常用語の感覚にあるズレ」
【現在のシャープのマイナスイオン採用状況】
シャープの場合マイナスイオンに少し手を加えて名前を変え「プラズマクラスター」と名付けているだけ!

さて、あなたはどう感じましたか?(笑)

2000年前後にすでに大人だった方は、当時の状況を思い出してください。

表の中に書いた研究者たちが名言を残しています。

特に、化学者/小波秀雄氏が貴重な表現をしています。

専門家の言語表現と一般の日常用語の感覚にあるズレが、ニセ科学のマイナスイオンを流行させてしまった一因だと。

専門家は「〜絶対にあり得ない」とか、「〜が起こるわけがない」断定できない立場

です。

つまり、

専門家と一般人との間のすれ違い
  • 専門家:「〜はほとんどない」
    (専門家の本音:「絶対にないよ!」)
    ※一般人の解釈:「やっぱり、あるんだぁ」
  • 専門家:「〜は否定できない」
    (専門家の本音:「〜はないと思った方がいいよ!」)
    ※一般人の解釈:「やっぱり、あるんだぁ」
  • 専門家:「〜が起こるのは確率的に極めて低い」
    (専門家の本音:「〜は起こるわけないよ!」)
  • ※一般人の解釈:「やっぱり、起こるだぁ」

なぜ、こうなるかというと、

一般人は、、、
  • 何かを期待している時は、少しでも含みのある表現を自分の都合や期待に沿って解釈してしまう
  • 都合の良い部分しか見ようとしない
  • 一般人(=大衆)を扇動するのが目的のTVや新聞などのメディア情報が“正しいもの”だと信じて疑わない
  • 少し調べれば疑わしい情報はたくさん出てくるのに、SNS,近しい人などの利用に安心して手を出してしまう

こうした一般人の行動がニセ科学を流行させてしまうという事です。

我々も、肝に銘じなければなりません。
我々も変わらない限り、時代は繰り返されます。


では、次章からいよいよ、ニセ科学の筆頭『プラズマクラスター』の原理を見ていきます。

プラズマクラスター発生の原理|マイナスイオンの負の歴史が繰り返されているだけ

シャープ/HP

写真の通り、プラス放電をなす電極と、マイナス放電をなす電極の2つが1セットになった物です。

そして、実際のユニット画像がこちらです。


1)空気中の酸素から作り出すマイナスイオン|前章で説明したイオンそのもの

右側のマイナス放電をなすユニットは、『空気中の酸素』を原料としています。

これに高圧放電を生じさせる事で『プラズマ化』させ、マイナス電荷を持った酸素を作り出します。

これが前章で説明してきた胡散くさいマイナスイオンの事です(笑)
(発生こそしますが、瞬く間に消滅します)

ちなみに、シャープは「空気中の酸素分子」が原料と言っていますが、空気は色々な気体の混合です。

大気の主な成分

これらに加えて、水蒸気が含まれます。

窒素,アルゴンはイオン化しにくいので、イオン化する候補は『酸素,二酸化炭素,水,その他(微量元素)』です。

空気がこれらの混合にも関わらず、空気中の“酸素分子(だけ)”が原料と都合良く言えるのか?

と疑問が残りますが、当然、これ以上の説明はありません。

2)空気中の水分子(=H₂O)から作り出すというプラスイオン|もっと胡散臭い

高圧放電を生じさせる原理は、1)のマイナスイオンと同じです。

しかし、こちらは、

原料が『H₂O(=空気中の水分子)』

なのが問題です。

季節や設置環境によって空間の湿度が低いと、“原料不足で安定した生成が実現できない事がある”と、容易に想像がつきますが、
シャープは一切の説明も注釈も入れていません!

その理由はただ一つ!
シャープが困るからでしょうね(笑)

こちらは、状況によっては発生自体が怪しいわけです。

3)仮に、シャープが言う通り、+と−のイオンが生成されたとしても、、、

+と−の電極の距離は、数センチ程度しか離れていません!

つまり、シャープが言う原理通り、

水素のプラスイオンと酸素のマイナスイオンが生成されたとしても、
逆の電位を持つイオン同士が瞬く間に再結合して、H₂O、つまり、水分子になってしまう(=戻ってしまう)のではないか?

と容易に推察できます。

しかし、シャープはこれに関しても、一切の説明も注釈も入れていません!

またしても、シャープが困るからでしょうね(笑)

4)マイナスイオンとプラスイオンを合わせて「プラズマクラスター」と呼んでいるが、

1)と2)を合わせて「プラズマクラスター」と呼んでいます。

2000年初頭から始まったマイナスイオン搭載製品や誇大広告の排除規制で、シャープも苦い経験をしていますから、

咄嗟にとって付けたような理屈が杜撰な『プラスイオン』を付け足して、マイナスイオンから改名したようなものです。

“マイナスイオンじゃない、+も−も両方出るのがプラズマクラスターだ”

と。

しかし、この時点ですでに、プラズマクラスターの理論が崩壊しています。

要は、

胡散くさいだけで“効果がない”と言われ、排除規制もあったマイナスイオンに、
生成の原理自体が怪しいもう1種類のイオンをくっつけて、名前を変え、あたかも別物のようにすり替えただけ

です。

結局、マイナスイオンの負の歴史が、巧妙に繰り返されているだけです。

生成された+と−のイオンにH₂O(水分子)が集合|寿命を長く思わせる方便

「生成したイオンが持つ電荷によって、空気中の水分子がブドウの房のようにイオンの周りに寄り集まることで、安定した長寿命のクラスター(=ブドウの房)イオンになります」
シャープ/HP

生成した水素のプラスイオンと酸素のマイナスイオンの周りにH₂O(水分子)が集合する!

その様が“ブドウの房”のように見えるとの事で、

プラズマクラスターのロゴは、ぶどうマーク

というわけです。

理屈はさておき、

そもそも、なぜ、“H₂O(水分子)が集合する”と言っているかと言うと、

そのフォローを入れておかないと、イオンの寿命は1秒もないからです。

持たないことには、静電気の除電や除菌などの効果をプラズマクラスターによるものと説明できなくなり困るからです。

しかし、

ただでさえ不安定で一瞬で消滅したり、あるいは再結合したりするイオンに、

※イオンが消滅する前に集まる事ができるのか?
※都合良く、H₂O(水分子)だけが集まるのか?
※都合良く、図の通り、イオンを包み込むように均等に並ぶのか?

という点が甚だ疑問ですし、

そもそも、プラスの水素イオン発生時と同じく、

室内が乾燥していたらH₂O(水分子)が材料不足で長寿命化できませんが、
シャープは室内の湿度条件は一切説明していません!

説明できるならしているはずで、できない,していないのに効果効用だけはバンバンする!

という事です。

詐欺の手法です。

プラズマクラスター|除菌のメカニズムと4つの杜撰な試験

プラズマクラスターイオン発生器のご紹介

このスライドには、このように書かれています。

ステップ2)「細菌やウイルスの表面に付着した時だけ一番酸化力の強いOHラジカルに変化し〜

どうして、ただの分子の集まりに過ぎないプラズマクラスターが、細菌やウイルスだけを判別して狙う事ができるのでしょうか?(笑)

  • 人が吸い込んで鼻や喉の粘膜に付着した時
  • 人の目の粘膜に付着した時
プラズマクラスターイオン

「あっ、やばい!これは人間の粘膜だからスルーしなきゃ!
俺の役目は、細菌やウイルスだ!」

こんな事が起きるはずがありません!(笑)

これを、シャープが「〜大発明」と豪語するあたりも呆れ果ててしまいます。

プラズマクラスターでのウイルス除去力|杜撰な試験①

プラズマクラスターイオン発生器のご紹介

この空間除菌試験では、業務用プラズマクラスター発生機IG-840-Wが使用されています。

下図の右の機種ですね。

上記スライドより、

この試験のイオン濃度は50,000個/cm3のため、当機を強運転で2台使っている

のが分かります。

プラズマクラスターイオン発生器のご紹介

そこで、当試験でのウイルス除菌の場合、1枚目のスライドより、

試験方法

1m3ボックスにウイルスを浮遊させ、空気中のウイルス除去率を測定

との事ですが、

1m3とは、つまり、1m×1m×1mの極小空間

『幅94cm×奥行23cm×高さ47cm』の機械を2台押し込み、強運転で10分稼働してウイルスが99.9%除去できた

と言う訳です。

幅が1mしかない空間に幅94cmの機械2台ですから、除去したというより、現実的には“本体内部にくっついた”だけと思ってしまいます(笑)

しかも、1m3の空間ですら当機を2台使用しての効果なので、仮に、6畳同等の効果を得ようとしたら、

6畳はおよそ『24.3m3』(∵3.6×2.7×2.5)のため、48台必要(∵1m3あたり2台)と、
とんでもない話になります(笑)

プラズマクラスターでのカビ菌の増殖抑制|杜撰な試験②

プラズマクラスターイオン発生器のご紹介
試験方法

2.6m3ボックスにウイルスを浮遊させ、空気中のウイルス除去率を測定

カビ菌の試験は、①ウイルスの時よりも広めの2.6m3で実施。

しかし、それでも、6畳で同じ効果を得ようと思えば、実験機の業務用プラズマクラスター発生機IG-840-Wが、

6畳はおよそ『24.3m3』(∵3.6×2.7×2.5)のため、18台必要(∵1m3あたり2台)です。

それに、このグラフも横軸に時間が書いていないため、どれだけの時間で抑制されたのかも全く分かりません!

結局、

『ウイルスの試験,カビの試験』いわゆる除菌系は、前提条件がメチャクチャのため、実生活空間の広さでは全く効果がない!

と言えます。

プラズマクラスターでの付着臭の分解|杜撰な試験③

プラズマクラスターイオン発生器のご紹介

タバコのニオイ成分を『6段階臭気強度表示法』で評価したグラフで、試験機関の算出データをシャープが独自に換算してグラフ化しています。

悪臭防止法の概要/神奈川県HP

グラフを見ると、初期値の臭気強度は3.5になっています。
3『楽に感知できるにおい』と4『強いにおい』の間が3.5

しかし、

不自然なグラフ
  • 自然減衰で、臭気強度2になるまでの時間が一切書かれておらず途中で途切れている
    (自然減衰=プラズマクラスターを使わない場合の結果)
  • 単に、プラズマクラスター5000と20000とを比較しているだけ
    →プラズマクラスターがない状態と比較しないと当イオンの意義が分からない
  • 製品化されている7000,25000,50000ではなく中途半端な5000と20000で試験している
    →実用性が分からない

なぜ、これだけ不自然な試験をするのか?

シャープ側にとって都合がいいように捻じ曲げられていると推察します。

プラズマクラスターでの浮遊ダニの濃度変化|杜撰な試験④

プラズマクラスターイオン発生器のご紹介
不自然なグラフ
  • 縦軸の数値(アレル物質の濃度変化量)は、1pg/c㎥→2pg/c㎥への変化幅しかない
  • 横軸の数値は一切書かれていない(笑)
  • プラズマクラスターなしでの浮遊ダニのアレル物質の自然増加が2pg/c㎥になるまでの時間が一切不明

さて、ここまでの4つの杜撰な試験結果を見ると、既にプラズマクラスターの化けの皮が剥がれている事にあなたも気づいているでしょう。

そもそも、プラズマクラスターと呼んでいる「+と−のイオン」自体に、殺菌,除菌,静電気除電,脱臭などの効果はありません!

シャープは、頑なにも“プラズマクラスターによる効果”とでっち上げたいようですが、

これらの効果をもたらす張本人はイオン生成時に副産物と発生する『オゾン』です。

しかし、シャープは、オゾン発生に関する事実は一切明るみにしようとはしません。

カタログの裏表紙の誰も読まないところにこっそりと、

シャープ/空気清浄機カタログ(背表紙)

書いて逃げています。

では、なぜ、プラズマクラスターと呼んでいる「+と−のイオン」生成時にオゾンが出るのか、を次に解説します。

プラズマクラスター生成時に副産物として出るオゾン(O₃)|これが効果の張本人

下の図のように、

針(=needle)と平板(=plane)を電極(=electrode)とし、針電極にマイナス電位の高電圧(=high voltage)を与え、針先でコロナ放電を生じさせると、

大気中の酸素分子(=O₂)が分離してマイナスイオンが発生します。

『コロナ放電による負イオンとオゾンの生成と応用』

一方、

理屈はそのままで、針電極にプラス電位の高電圧(=high voltage)を与え、針先でコロナ放電を生じさせると、大気中の水分子(=H₂O)が分離してプラスイオンが発生する、

というのがシャープの言い分です。
(こちらは“胡散くさい方の+イオン”でしたね笑)

これをシャープなりに見やすくしたのが、先ほど、序盤で紹介した図ですね!

シャープ/HP

結局、電極に高電圧をかけた『高圧放電』をしている以上『オゾンO₃』が発生している

という事です。

では、

なぜ、プラズマクラスターには効果がなく、効果をもたらす実体が“オゾン”だと言えるのか?

『一般社団法人 日本感染症学会』の2本の論文を引用して解説します。

効果がないプラズマクラスター|日本感染症学会の3つの論文が示している

『一般社団法人 日本感染症学会』における論文を3つ紹介します。

日本感染症学会は、感染症に関して日本で最も権威ある組織です。

①日本感染症学雑誌第85巻第5号|空中浮遊している活性ウイルスに対する効果実験

「今回調べた 3 種の新技術は,空中浮遊している活性ウイルスの減少効果において,既存のフィルターろ過技術に遠く及ばなかった.」

高性能の空中浮遊インフルエンザウイルス不活化を謳う 市販各種電気製品の性能評価(感染症学雑誌 第85巻 第5号)

これが、日本感染症学雑誌第85巻第5号の論文の結論です。

当論文での実験内容を簡単にまとめると、

日本感染症学雑誌 第85巻 第5号の内容|インフルエンザウイルスに対する効果実験

検証方法
容積 14.4m3の密封状チャンバー内でインフルエンザウイルスを噴霧して実験
<検証した対象
プラズマクラスター(シャープ)
ナノイー(パナソニック)
ストリーマ放電(ダイキン)
HEPAフィルター装着空気清浄機

(※イオン発生機能なし)

14.4m3約3畳の空間です。

その密封状のボックス内でインフルエンザウイルスを噴霧して、不活化あるいは除去効果を実験したわけです。

そして、当実験に関する結果と考察は下記の通りです。

インフルエンザウイルス量の低下の結果
  • <プラズマクラスター(シャープ)
    →時間の経過と共に減少する『経時的自然減衰』と効果は変わらず、放出したイオンを直接インフルエンザウイルスに衝突するよう放出しても結果は同じ
    →つまり、プラズマクラスターには全く効果がなかった
  • <ストリーマ放電(ダイキン)
    放電装置を取り外し、フィルターのみの空気清浄機(風量2.5㎥分)状態にしても結果は同じ
    →つまり、ストリーマには全く効果がなかった
  • <ナノイー(パナソニック)
    自然減衰に比べて、回収ウイルス量に若干の低下が認められた
    (∵『オゾン水』を発生させている効果と思われる。次に紹介する論文を参照。)
     ただし、フィルターろ過に比べれば効果は過小
  • 空中浮遊している活性ウイルスの減少効果に対して、上記3つの技術は既存のフィルターろ過技術には遠く及ばず
    最も効果があったものは、イオン発生機能を持たないHEPAフィルター装着空気清浄機

結局、

付加価値があるように思わされているイオンよりも、旧来的なHEPAフィルターの方がウイルス除去効果が遥かに大きかったという事です。

イオンはでっちあげです!

②環境感染誌 Vol. 27 no. 5, 2012|塗布乾燥状態の細菌に対する実験

「環境表面に乾燥状態で付着した細菌を想定し,黄色ブドウ球菌,緑膿菌,セレウス菌,腸球菌の一定数生菌液をスライドグラス上にスメア状に塗布し容積 0.2 m3 のグローブボックス中に置き,対象機種を一定時間運転後,一定量の液体培地で洗い流し,生存細菌数を定量してみた.

その結果全機種,全菌種で対照と生存菌量はほぼ変わらず,殺菌効果はほとんど認められなかった.」
(中略)

「こうした狭い空間で効果がなければ,より広い生活空間での効果も期待できないであろう.14.4 m3 の閉鎖空間で行った緑膿菌を用いた予備的実験でも,まったく効果は認められなかった」

環境感染誌 Vol. 27 no. 5, 2012|殺菌力を謳う各種空気清浄電気製品の, 塗布乾燥状態の細菌に対する効果の有無の検証

①の実験でも出てきましたが、14.4m3約3畳の空間です。

実験に用いた空気清浄電化製品
  • プラズマクラスターイオン発生機
    (シャープ)
  • ナノイー発生機(パナソニック)
  • エネループ・エアーフレッシャー
    (サンヨー)
環境感染誌 Vol. 27 no. 5, 2012|殺菌力を謳う各種空気清浄電気製品の, 塗布乾燥状態の細菌に対する効果の有無の検証

上のa,bのような0.2m3の極狭空間においてでさえ除菌効果がほとんど認められなかったので、実用性は全くありません!

誇大広告も甚だしいです!

一方、「プラズマクラスター」と呼んでいるイオンを発生させる過程で、必ず副産物としてオゾンが発生します。

「プラズマクラスターやナノイーは消臭効果も謳っている.

オゾンは,こうした電気製品で発生し,酸化還元反応で匂い分子を破壊し,場合によっては殺菌あるいはウイルス不活化作用をもたらすものとしてよく知られており,プラズマクラスターとナノイーの能書にもオゾン発生についての記載がある.

そこで実験空間のオゾン濃度を U.V. Photometric O3 Analyzer Model 49, (ThermoEnvironmental Instruments Inc., USA)を用いて測定した.

その結果,プラズマクラスターの運転によるグローブボックス内の濃度は,強運転 1 時間後に約 460 ppbとなり,その後徐々に上昇し 16 時間後には約 1100 ppbとなった.

一方,ナノイーでは強運転 1 時間で約 440ppb, 16 時間で約 900 ppb であった.

今回の結果は,こうした高いオゾン環境も,これらの細菌に対し,少なくとも今回のような実験条件下では,殺菌効果がなかった」

環境感染誌 Vol. 27 no. 5, 2012|殺菌力を謳う各種空気清浄電気製品の, 塗布乾燥状態の細菌に対する効果の有無の検証

乾燥状態下では、その“オゾンの濃度を高めても殺菌効果がなかった”と言っているわけです。

プラズマクラスターの強運転で16時間後に『約1,100ppb』という事はつまり『1.1ppm』ですが、市販の空調製品のオゾン発生許容上限濃度は0.1ppm

すなわち、市販の11倍もの高濃度に細菌を晒しても、殺菌効果がなかった!

“プラズマクラスターは全く意味がない”と、当論文だけを見ても言えます!

ナノイーも同様ですが。

③第86回日本感染症学会総会学術講演会座長推薦論文|寒天平板培地上の細菌に対する実験

「プラズマクラスターは,高濃度プラズマクラスターイオン発生ユニットと称するユニットの中の放電電極から,水素の陽イオンと酸素の陰イオンを同時に放出し,それらがウイルスや細菌の表面で同時に作用し,不活化あるいは殺菌するものとされている3)15).

しかし,今回の我々の研究により,少なくとも腸球菌と黄色ブドウ球菌に関してナノイー粒子,あるいはイオンやプラズマクラスターイオンが直接的に細菌に作用し殺菌作用を示している可能性は否定され,

むしろ,こうした電極から必然的に産生されることが広く知られているオゾンこそが,殺菌作用の本体であることが強く示唆された.
(中略)
プラズマクラスターとビオンについては,空間イオンを除去した状態を確実につくり出し,それでも感受性菌に対する殺菌効果が変わらないことを示すことで,殺菌の本体がイオンではないことを示した.

殺菌性能を有する空中浮遊物質の放出を謳う各種電気製品の, 寒天平板培地上の細菌に対する殺菌能の本体についての解析

要するに、

上記引用部分の要旨
  • プラズマクラスターイオンが、直接的に細菌に作用し殺菌作用を示している可能性は否定
  • 必然的に産生されることが広く知られているオゾンこそが,殺菌作用の本体であることが強く示唆
    →その証拠に、プラズマクラスターイオンを除去した状態下でも効果が変わらなかった

結局、プラズマクラスターは“全く”効果がなかったんです!

本来、論文でここまではっきりと断定されてしまうのも珍しいです(笑)

ただし、殺菌効果が“一部”とはいえ認められた状況とは?

「以前我々は,今回と同じグローブボックス内での実験で,スライドグラスに塗布し乾燥状態になった細菌では,プラズマクラスターやナノイーへの 16 時間もの曝露でも,生存細菌数が,調べたすべての菌で対照と比較して統計学的有意差を持たなかったことを報告したが2),

その際,オゾンはボックス内で今回と同等あるいはそれ以上の高濃度で存在していた.」

殺菌性能を有する空中浮遊物質の放出を謳う各種電気製品の, 寒天平板培地上の細菌に対する殺菌能の本体についての解析

当論文のこの箇所は、先ほど、②の論文で僕が説明した箇所を踏まえています。

つまり、この部分ですね↓

プラズマクラスターの強運転で16時間後に『約1,100ppb』という事はつまり『1.1ppm』ですが、市販の空調製品のオゾン発生許容上限濃度は0.1ppm

すなわち、市販の11倍もの高濃度に細菌を晒しても、殺菌効果がなかった!

これを踏まえて、当論文では、寒天平板培地という水分がある状態で実験をしています。

乾燥状態下では全く効果がなかったので、今度は、水分がある状態で実験を試みているわけです。

「今回の寒天平板培地表面の細菌に対し殺菌効果が一部とはいえ認められたこととの違いは,オゾンガスは水に溶け込みオゾン水となり,水分子との反応により極めて強い殺菌力を持つヒドロキシラジカルを発生させるというオゾンに関する実務領域における常識16)で説明可能であろう.

水分が存在する場合,たとえ低濃度のオゾンでも殺菌作用が認められるという報告もあり17),今回,寒天平板上の細菌のコロニー形成を阻止したのも,水分の豊富な寒天培地表面にオゾンがとけ込み,一種のオゾン水状態が作り上げられたからであろうと考えて矛盾しない.

事実,水分が約30% 消失するまで乾燥させた寒天平板に腸球菌を塗布した実験では,プラズマクラスターもナノイーも,対照と比べてまったくコロニー形成を阻止しなかった.」

殺菌性能を有する空中浮遊物質の放出を謳う各種電気製品の, 寒天平板培地上の細菌に対する殺菌能の本体についての解析

要するに、

空間におけるオゾン濃度がいくら高くても殺菌効果は乏しく、逆に、低濃度でもオゾン(=気体)が水に溶け込みオゾン水になると一部の殺菌効果が見られる。

という事です。

そして、この

一部の殺菌効果をもたらした張本人は、オゾン(=気体)が水分子との反応により発生した『ヒドロキシラジカル』
(通称:OHラジカル

という事です。

しかし、その一部の殺菌効果も、

「生活空間を意識した約 3 畳の部屋に相当する 14.4m3の空間での実験では,そうした殺菌作用もまったく認められなかった.

先の我々のスライドグラス上にスメア状に塗布されて乾燥状態にある菌に対する無効性を示した実験結果2)とあわせれば,

少なくとも研究対象となった菌に対し,これらの機器に生活空間における環境表面の殺菌の実用的価値はない,と言えよう.」

殺菌性能を有する空中浮遊物質の放出を謳う各種電気製品の, 寒天平板培地上の細菌に対する殺菌能の本体についての解析

つまり、

当実験から言えること
  • 約3畳の部屋にもなれば、水分の有無に関係なく全く殺菌効果がなかった
  • 乾燥状態では、空間の広さに関係なく効果がなかった
  • グローブボックス(内容積0.2㎥)の極狭な内部に置いた水分がある環境下でのみ一部の効果があった

これが、第 86 回日本感染症学会総会学術講演会座長推薦論文の結論です。

当論文内で「殺菌の実用的価値はない」という堅い言い方で締めくくっていますが、

要するに、“プラズマクラスターは意味がない”という事です!

なお、殺菌能力は、すなわち『消臭能力』と同義です。

すなわち、当論文の検証から、“プラズマラスターでは消臭効果もない”と言えます。

その証拠に、下記の論文がそれを言及しています。

「我々がオゾン発生直後の室内に入り臭いが消えたと感ずるのは,オゾンそのものが嗅覚細胞を麻痺させて人体に有害な“臭覚麻痺に基づく無臭効果”が得られることも一因と予測される.」

日本獣医師会/解説・報告『オゾン脱臭に伴う危険性について』

つまり、プラズマクラスターが発生する空調製品を使っていて臭いが消えた気がするとしたら、

“オゾンで鼻が先にバカになっただけ”という恐ろしい現実です。

プラズマクラスターの名を隠れ蓑に暴れるオゾン|人体に有害、使用しない事が無難

オゾンは、人体に有害な化学物質です。
致死量も定められている程です!)

当記事はプラズマクラスターに論点を絞ったため、オゾンの健康への影響については下記の記事で詳しく解説しました。

【まとめ】プラズマクラスターに対してあなたに理解してほしい事

冒頭のマイナスイオンや本題のプラズマクラスターは、所詮、マーケティング用語に過ぎません。

もし、これらが“良心的な意味”で使われているとしたならば、『嘘も方便』でしたでしょう。

「大きな善行の前では、偽りも認められるということ」

嘘も方便 – ウィクショナリー日本語版

仏様が真の悟りや価値がある言葉を投げかけても、その価値が分からない衆生は耳を貸そうとしません。

そんな時、“その人達を導くためには、時と場合によっては必要な嘘もある”という意味ですが、

この場合の嘘は、“正しい方向へと導くために”つくものです。


しかし、

家電メーカー側が発しているマイナスイオンやプラズマクラスターは『方便』ではなく、

無知あるいは自分達よりも低レベルだとみなしている消費者を丸め込もうとするため,売ろうとするために使っている

です。

つまり、詐欺です。

だからこそ、景品表示法を改正してまで、当時、多くのメーカーが公正取引委員会に規制されたわけです。

シャープのプラズマクラスターは、マイナスイオンを巧妙に見せかけて名前を変えただけです。

約20年前、TV番組『発掘!あるある大辞典』がマイナスイオン大ブームを作りましたが、

今の時代は、当時とは比較にならない程の超がつく情報社会!

しっかりと取るべき情報を吟味しないと、簡単にカモられます!

特に、以下のような影響力に惹きつけられる心当たりのあるなら要注意です!

こうした情報に気をつける事
  • 有名メーカーだから
  • TVで放送しているから
  • 比較サイトの売れ筋ランキングで上位だから
  • 有名人がSNSでアップしているから
  • 赤ちゃん向けの雑誌で紹介しているから

シャープの空気清浄機の場合、これが全て当てはまります(笑)

シャープは、プラズマクラスターのブランド地位を確立した事とマーケティングが上手なだけ!

空気清浄機としての価値は全くありません!

今回は以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。

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