「オシャレだし、ミストがモクモクと出るからいかにも加湿してくれそうと期待して超音波式加湿器を買って使っているけど、全然思うように湿度が上がってくれないのはなぜ?私の使い方は間違っていないはずなんだけど、何か原因があるのかなぁ?」
こういった疑問に答えます。
- “超音波式加湿器 意味ない”と言われる理由が分かる
- ①超音波式加湿器では湿度が上がらない理由が本質的に理解でき、今後は超音波式加湿器をやめて、他の加湿方式にシフトする踏ん切りがつく
今回は、上記図の『超音波式』について解説します。
- 空気清浄機,加湿器,除湿機など空調家電のエキスパート
- 現在も、空調家電販売の第一線で活躍中
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- 根が “健康オタク” でもあるため、「空調家電は健康に直結する」と一貫して主張し、衛生的に配慮のない製品には「使う価値がない」と厳しく意義を唱える
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超音波式加湿器は意味ない|床等を濡らすだけで湿度上昇は期待できず
超音波式加湿器は設置台や床等の周辺部を濡らすだけ|コップの水を撒くのと変わらず
突然ですが、超音波式加湿器からモクモクと放出されるものは何でしょうか?
- 水滴?
- 水蒸気?
- 白煙?
そう、答えは「水滴」です!
水滴、すなわち、細かい水の粒です。
あなたもそうだったかもしれませんが、モクモクと水滴が出ているので、
「モクモクと水滴が出ていていかにも加湿してくれそう♪」
と考えたかもしれませんね。
視認による安心効果ですね。
しかし、残念ながら、部屋に水滴が幾ら放出されようと、湿度が上がる事はほとんどありません。
つまり、
超音波式加湿器では、湿度が上がらない
(=加湿されない)
という事です。
これが、
“超音波式加湿器 意味ない”
と多くの人達にググられる背景です。
そして、結局、オチとして、放出された水滴は湿度上昇させる事なく、
設置する台や床等の周辺部を濡らしてしまう
だけです。
言うなれば、コップの水を直接床にこぼすか、細かな水滴として分散させて撒き続けるのかの違いだけで、超音波式加湿器の周辺部に水撒きをしているのと何ら変わりません。
では、
超音波式加湿器は『水滴』を放出しているにもかかわらず、なぜ、湿度が上がらない、すなわち、加湿されないのか?
その理由に迫っていきます。
『部屋が乾燥している=部屋の空気の水蒸気量が少ない』という事
図に書いた通り、部屋(=囲われた空間)は『縦・横・高さ』の三つの次元からなる三次元です。
そして、
要するに、
- 部屋が乾燥している
→部屋の空気の水蒸気量が少ない - 部屋が潤っている
→部屋の空気の水蒸気量が多い
という事です。
ここで『水蒸気』の定義です。
「蒸気」とは、物質が液体から蒸発、あるいは固体から昇華して気体状態になったもので、一般的には水蒸気のことを指します。
日本電熱株式会社|蒸気の基礎知識
水蒸気は水が蒸発した無色透明の気体で、お湯を沸かす際にやかんの注ぎ口から見える白い気体は、水蒸気が周囲の空気によって冷やされて、凝縮した水の微粒子です。
ここでのポイントは下記の2つです。
- 物質が液体から蒸発、あるいは固体から昇華して気体状態になったもの
- 一般的には水蒸気の事
中でも、①がポイントで、
気体状態になったもの
が蒸気、すなわち『水蒸気』であると。
当項のタイトルで、
『部屋が乾燥している=部屋の空気の水蒸気量が少ない』という事
と書きましたが、
そうです、この水蒸気量とリンクする訳です。
実は、ここを逆に言えば、
超音波式加湿器では湿度が上がらない本質でもある
のですが、あなたは気づきましたか?
中1の理科『物質の状態変化』を思い出そう
という話は、前項で出てきた通りです。
そして、これも前項のおさらいですが、
- 部屋が乾燥している
→部屋の空気の水蒸気量が少ない - 部屋が潤っている
→部屋の空気の水蒸気量が多い
という事が言えました。
要するに、これらの話を絡めると、
部屋を加湿させていく,湿度を上げていくためには、部屋の空気の水蒸気量を上げていく必要がある
そうですよね、部屋が乾燥しているという事は、部屋の空気の水分量が少ないという事ですからね!
そして、その水分量を上げるためには水蒸気にして供給してあげないといけない訳です!
あなたも、中1理科で下記のような図を勉強しましたよね!(懐かしいですよね!)
ここでは、加湿器の蒸発の話ですから、
液体(水)→気体(水蒸気)
に変化していく過程だけを考えます。
そして、ここがめちゃくちゃ重要ですが、
その際、
豊富な『熱』が必要!!
だという事です。
しかし、その熱のフォローが乏しいため、超音波式加湿器は気化(=気体,水蒸気になる事)ができず、液体のままで止まってしまう訳です。
では、その辺りを詳しく見ていきましょう。
冬場の低温下の室内に微細な水滴を撒き続けた所で、水滴が設置台や床等に落ちるまでに蒸発する訳がない!
ここでは、今までのポイントと全てリンクさせて見ていきましょう。
- 超音波式加湿器から放出されるものは『水滴』
→水蒸気ではない!! - 部屋が乾燥しているという事は…
→部屋の空気の水分量が少ないという事 - 部屋の空気の水分量を上げるためには…
→“水蒸気として”供給する必要がある - 液体(水滴)→気体(水蒸気)へと蒸発するためには…
→熱が必要
こうでしたね!
勘の良いあなたはもう気づいているかもしれませんが、室温が30度以上あればまた話が違うかもしれないでしょうけど、
一般的に暖房で設定している程度の温度下の室内に、水滴を撒き続けたとしても、それが設置台や床等に落ちるまでに蒸発する事はありません!
特に、
- 出力が高いもの(=放出量が多いもの)
- 水滴の粒が大きいもの,荒いもの
は、設置台や床等を濡らすのは必然です。
①何かに付着するあるいは落下するまでに、気化(=蒸発)するに足るだけの熱量が得られない
もちろん、あなたも聞いた事があるでしょうけど、
「水は温まりにくく冷めにくい」
と。
これは、
水の比熱容量、すなわち、1gあたりの物質の温度を1度あげるのに必要な熱量が大きいため、温めるのに大きな熱量が必要
という意味ですが、
一般的に暖房で設定している程度の温度下の室内では、そのための熱量は得られません。
②重力があるため沈降速度が速く、かつ、水滴の吹出口と設置台や床等が近すぎて時間がない
この世には重力があるため、思いの外速く、物質は重力方向に向けて落ちていきます。
表の一番上の粒子径30μmには『花粉』が分類されますが、なんとたった30秒で落下してしまいます。
帰宅してコートをちんたら脱いでいたら、瞬く間に花粉は落下しています。
それぐらい粒子の落下速度は速く、
目で可視化できないサイズの花粉ですら、その速さ
です。
花粉より粒子径が大きく視認できる水滴などは、もっともっと早く、超音波式加湿器の設置台や床等に付着あるいは落下してしまいます。
また、重力とは別に、違う見方をすると、超音波式加湿器は吹出口と設置台や床等が近すぎて、蒸発のために熱を得る時間がないという事も言えます。
もっとも、近年は85.5cmの高さから放出するcadoを始め、できるだけ高い位置から水滴を放出しようとする超音波式加湿器も幾つかあります。
cado公式サイト
しかし、幾ら水滴を高所から放出しようとしたとしても、いかんせん、先程の粒子の重力沈降速度の表で、
3mの高さから花粉を落下させても僅か30秒後には床に落下してしまう訳ですから、
せいぜい1m弱の高さから、花粉よりも粒子径が大きな水滴を放出した所で結果は変わりません。
タンク内の水の消費量が多ければ多い程、つまり、放出量が多ければ大きい加湿適用床面積を書いて良いルールが存在している
「超音波式加湿器は加湿されないと言ってくれたけど、この前、家電量販店に行ってきたけど、8畳用とか10畳用とか書いてあったぞ!」
と、ひょっとしたらあなたもそう思ったかもしれません。
しかし、そもそも、
その適用床面積という数字は、そんな意味ではありません!
部屋が加湿されたかどうかは一切問われない|水の放出量が多ければ、たとえ床を濡らす事になったとしても適用床面積が大きい加湿器と宣伝できる
日本電機工業会
一般社団法人・日本電機工業会(以下:日本電機工業会)が『JEM1426』という規格で定めている、いわば、“加湿の公式”みたいなものです。
各メーカーは『JEM1426』のルールに則り、カタログや商品情報に数字を記載しています。
一般社団法人 日本電機工業会規格「JEM1426」(※1)で定められた、室温20℃、湿度30%時に、1時間あたりで放出できる水分量=(例:500ml/h)をもとに適用床面積(目安)は決められています。
なお、適用床面積は建物のタイプなどによって異なります。
日本電機工業会
なお、
『室温20℃・湿度30%時』は、全ての加湿方式共通で足並みを揃えるための条件
です。
加湿器は多くの方式があるため、
全ての加湿器が最低限機能するために、足並みを揃えてテストしているという事です。
(全ての加湿方式とも前提条件は同じ!)
1時間あたりに放出できる水分量の多寡で、加湿器に序列をつけているだけ
放出できる水分量、言い換えれば、タンク内から減らす事ができる減少量です。
放出される水分量(=タンクからの水の減少量)
- 放出される水分量(=減少量)が多い
→適用床面積が広い - 放出される水分量(=減少量)が少ない
→適用床面積が狭い
例えば、一般的な感覚だと、
「8畳の部屋が均一に潤うから、8畳用なんだな!」
と思うと思いますが、
そんな決め方はしていませんし、そんな緻密なテストはしていません。
先のように、
日本電機工業会が導いた水分量の多寡に応じて、“形式的に”畳数を割り振ったにすぎないのが適用床面積!
という事。
- 1時間に350mlの水を放出できる
→鉄筋10畳,木造6畳と書いていい - 1時間に700mlの水を放出できる
→鉄筋19畳,木造12畳と書いていい
というだけの事。
杜撰ですよね!
したがって、超音波式加湿器の場合、
どれだけ設置台や床等を濡らしただけで終わるポンコツだとしても、それだけの水(=液体)が1時間あたりに放出できるため、その分、適用床面積の数値が大きく書いてもらえる訳です。
加湿器の闇ですね!
【まとめ】意味ない超音波式加湿器での水撒きはやめ、他の加湿方式にシフトしよう
ここまで、
超音波式加湿器 意味ない
をテーマに、
- 部屋の湿度が上がる事はほとんどなく、設置台や床等を濡らしてしまうのがオチ
- どれだけ製品カタログやPOPで大きな適用床面積が書かれていようと、適用床面積は部屋が加湿されたかどうかを問わない
- すなわち、設置台や床等を濡らすだけに終わってしまったとしても、適用床面積の規定の通り、水が放出されているから問題ない、という作り方をしている
という事でした。
さて、ここまで通して読んできて、冒頭のあなたの疑問、
「オシャレだし、ミストがモクモクと出るからいかにも加湿してくれそうと期待して超音波式加湿器を買って使っているけど、全然思うように湿度が上がってくれないのはなぜ?私の使い方は間違っていないはずなんだけど、何か原因があるのかなぁ?」
という疑問が解消できた事でしょう。
したがって、もう今後、超音波式加湿器を使うのはやめると考えるのが普通の感覚だと思います。
もし、潔くやめられたらばそれで結構ですが、
もし、
「超音波式加湿器ではほとんど加湿しないのは分かったけど、今使っている加湿器が可愛くてお気に入りだから手放せないのよね!」
という方もいると思います。
そんなあなたは、超音波式加湿器の他のデメリットも知る事が大事だと思いますので、僕に背中を押された形で結構なので、下記の記事を一読される事をおすすめします。
今後、選ぶべき加湿方式は?
当記事により、超音波式という1本の柱が崩落しました。
残るは、気化式とスチーム式です。
この2方式検討において、参考になる記事を載せて、当記事を締めくくりたいと思います。
これから、気化式を検討し始めるあなたへ
これから、スチーム式を検討し始めるあなたへ
今回は以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。