
「気化式加湿器のメリットって何だろう?」
こういった疑問に答えます。


- 気化式加湿器のメリットが分かる
- 自分の部屋が、気化式加湿器のメリットに沿う部屋かどうかの判断がつく


- 空気清浄機,加湿器,除湿機など空調家電のエキスパート
- 現在も、空調家電販売の第一線で活躍中
- “空気” が大好きで、休日でも勉強や追求に余念がない
- 根が “健康オタク” でもあるため、「空調家電は健康に直結する」と一貫して主張し、衛生的に配慮のない製品には「使う価値がない」と厳しく意義を唱える
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気化式加湿器のメリット|長時間稼働で自然で緩やかな湿度上昇を期待


まず、先に『気化式加湿器のメリット』を一覧でまとめて示しておきます。
- 電気代が安く、財布の心配をせず長時間稼働できる
- 快適ゾーンをはみ出すほど加湿し過ぎる心配が不要
- 急激な湿度上昇や高湿度が仇となりうる人にも適
では、メリットを1つずつ見ていきましょう。
気化式加湿器のメリット1)電気代が安い|財布の心配をせず長時間稼働できる


電気を使うのはファンだけ!
そのため、
電気代は、最大運転でも1時間1円程度の製品がほとんど
です。
24時間稼働してもざっと24円。
『羽つき扇風機』と同等だと思ってもらえれば結構です!
逆に、長時間稼働しないと気化式加湿器の効果が出てこない!


のため、悪く言えば、“その程度”のパワーしか期待できません。
したがって、



「気化式加湿器を買った事だし、ガンガン湿度を上げるぞ!」
というようなパワー,即湿能力は初めからありません。
したがって、
- 長時間稼働させてナンボ!
- そして、少しずつじんわりと湿度が上がる!
という特性を理解しておかないといけません。
大前提として気化式加湿器で重要な事①|室温を20℃以上に保ち続ける事
結論から言うと、
常に『室温を20℃以上』に保ち続けること!
そうしないと、気化式加湿器は全くと言っていい程、機能しません!
『機能しない』とは、水が減らない、すなわち、加湿されないという事です!
これは具体的に考えてみると、納得すると思いますよ!
つまり、冒頭で、
と解説しました。
真夏ならすぐに乾く部屋干しも、冬だと丸一日干していても乾かない事があるように、とにかく、気化式加湿器では室温が重要です。
それは、なぜか?


液体、この場合、『水』が気体になるためには熱が必要だからです。
なお、液体が気体になる事を「気化」と言います。
この辺りの理解を深めたい方は、下記の記事が勉強になります!


さて、話を戻しますが、
具体的に言うと、部屋が20℃未満、つまり、部屋が寒いと、水を気化させる十分な熱が足りません!


つまり、本体が取り込んだ空気に熱が十分にないと、ほとんど機能しないわけです!
大前提として気化式加湿器で重要な事②|設定風量をできるだけ強くすること
- 設定風量を上げる
→加湿効率が得やすくなる - 設定風量を下げる
→その分、加湿効率が落ちる
という事が言えます。
部屋干しに扇風機やサーキュレーターの風を当てる場合でも、チョロチョロとした風を当てるよりも強い風を当てた方が、早く乾く想像ができますよね!
それと全く同じ理屈です。
ここまでのまとめ|気化式加湿器を機能させるために重要なポイント
- 長時間稼働させてナンボ
∵パワーや即湿性はなく、それを期待する方式でもない - 室温を常に20℃以上に保ち続ける
∵20℃を下回ると、ほとんど機能しない - 設定風量をできるだけ強くすること
∵風量の大小が気化効率を左右する
という事です。
この3点を理解していれば、気化式加湿器とうまく付き合えます。
気化式加湿器のメリット2)快適ゾーンをはみ出すほど加湿し過ぎる心配が不要
最も室内の快適さが担保されるのが相対湿度50%
ASHRAE(アメリカ暖房冷凍空調学会)/相対湿度と微生物等との相関関係
湿度が低過ぎるのは良くないですが、かと言って、高過ぎるのも問題です。
それを証明してくれるのが上記の表で、
ASHRAE(アメリカ暖房冷凍空調学会)による『相対湿度と微生物等との相関関係』
という、少なくとも30年以上前から、空調業界で権威を持った貴重な資料です。
これによると、
相対湿度40〜60%が『快適ゾーン』で望ましい
という事が分かります。
(相対湿度は、簡単に言うと『室内の湿度』)
そして、ここが重要ですが、
事が見て取れます。
50%ならば、
- バクテリア(=細菌)の心配がない
- ウイルスの心配がほぼない
- カビの心配がない
- ダニの心配がない
- 呼吸疾患の心配がない
という非常に素晴らしい結果が期待できます。
しかし、
この表における『相対湿度50%が快適』と言えるのは室温が20℃くらいの時
です。
要するに、室温の高低によって、快適な相対湿度が変わってきます。
それを示すのが、次のグラフです。
室温と湿度を加味した快適ゾーンの割り出し方


グラフを見ると分かりますが、湿度だけが高くてもかえって問題である事が分かります。
つまり、室温を加味しないと、部屋の高温多湿状態を招いてしまいます。
仮に、室温が15,16℃程度の部屋なら湿度60%でも快適と言えますが、逆に、室温25℃の部屋なら快適な湿度は35〜40%程度です。
もちろん、個人の勝手でそれ以上上げてもいいですが、逆に、様々な悩みが出てきます。
室内環境が高温多湿に転じると生じる悩み
- 『ダニ』
- 『バクテリア(=細菌)』
- 『カビ』
という状況になります。
そもそも、気化式加湿器は湿度50%を優に超えていく加湿能力を持っていない事がかえって吉
気化式加湿器が最も効率よく機能するのは、
『室温20℃以上・湿度30%以下』
です。
しかし、逆に、室温がこれよりも下がっていったり、あるいは、湿度が上がっていくとどんどん加湿能力が落ちていきます。
当記事の序盤で、『室温を常に20℃以上に保ち続ける』重要性は解説しました。
今度は、湿度側の話で、
『湿度が上がっていくにつれ加湿能力が落ちる』というのは、
を想像してみると、なかな乾かないですよね!
湿度30%までを境に、そこを超えていくと一気に加湿ペースが落ちていきます。
そのため、“長時間稼働させてナンボ”と言った訳ですが、
気化式加湿器の事実上の上限は50%!
したがって、元から50%を優に超えていく加湿能力は、気化式加湿器にはありません。
先程の『快適ゾーン』の話を踏まえて統合すると、
- 室温20℃以上を保ち続ける事が大前提
- 相対湿度30%をピークに湿度上昇ペースが落ちる
- そのため、気化式加湿器だけで50%を目指すには、長時間稼働させる必要がある
- 長時間稼働しても、最快適ゾーン50%を優に超えるパワーはないため加湿し過ぎる心配は不要
逆に、気化式ハイブリッドの加熱モードやスチーム式の場合、湿度を上げ過ぎないための管理が大事
非加熱の気化式加湿器が、湿度50%を超えるあたりでパタっと加湿能力を失うのに対して、湿度50%超えでも一定の加湿能力を保持できるのが気化式ハイブリッドの加熱モード。
一方、スチーム式は、上げようと思えばいくらでも湿度を上げられるのが特徴。
そのため、非加熱の気化式加湿器に比べると、両方式は加湿時間を短縮できるのがメリットですが、
その分パワーがあるため、快適ゾーンを飛び越えないように湿度を管理していかないといけないのが、別の意味で大変!
しかし、非加熱の気化式加湿器なら『湿度管理』は不要です。
あくまで自然な加湿力だからです。
ですが、その分、時間がかかるので長時間稼働する必要があります。
気化式加湿器のメリット3)急激な湿度上昇や高湿度が仇となりうる人にも適


乾っからな低湿度も問題ですが、その一方で、急激な湿度上昇が苦手な対象者もいます。
- 急激な環境変化で自律神経が乱れやすい人
- 乳幼児や幼児
- 犬や猫
- 高気密のマンションなど、元から湿度がある程度高い部屋に住む人
1)急激な環境変化で自律神経が乱れやすい人|気化式加湿器は優しい
急激な温度変化や気圧変化もそうですが、それと同様に
『急激な湿度変化』や『高湿度』も自律神経を乱す原因
となります。
“しっかりと湿度を上げる”という観点では、例えば、最たる方式として 『スチーム式』という選択肢がありますが、
沸騰させたお湯の蒸気と共に熱も出る事で室温・湿度ともに上がりやすいため、『急激な温度変化や湿度変化』に適応していくのが難しい人には不向き。
と説明したように、こうした方には、気化式加湿器の非力さがメリットとして働きます。
2)乳幼児や幼児|免疫力が低い,汗をかきやすい。これらの特徴にも最適
乳幼児や幼児は免疫力が低い
と言われています。
したがって、先程紹介したASHRAE(アメリカ暖房冷凍空調学会)による『相対湿度と微生物等との相関関係』がここでも重要です。
ASHRAE(アメリカ暖房冷凍空調学会)/相対湿度と微生物等との相関関係
免疫が低い人にとって、バクテリア(=細菌)やウイルス,カビ,ノミやダニなどのハウスダストは大敵!
乳幼児や幼児は、1日中家で過ごすため、大人以上に室内環境が重要です。
その意味で、
バクテリア(=細菌)やウイルス感染,カビ,ノミやダニ,呼吸疾患などのリスクからほぼ解放される湿度50%
が、ここでも重要です。
他の気化式ハイブリッドの加熱モードやスチーム式と比べて、気化式加湿器はそこに至るまでに時間を要しますが、50%を優に超えていく能力はないため、実質的にそれくらいの湿度に自然と着地するのがメリットです。
乳幼児がいる部屋では、気化式加湿器を1日中稼働してあげるのがおすすめ!
1日中稼働したところで電気代は僅か1円程度のため、お財布の心配は要りませんでしたね!
そうして、稼働時間を長く取ると気化式加湿器のメリットが活きます。
乳幼児や幼児は汗をかきやすいため、高湿度が大敵
です。
我々の体は汗をかいて体温を調節します。
しかし、高湿度の環境下だと発汗作用が上手く機能しません。
発汗が上手くいかない→代謝が悪化→血液の循環が停滞→体が冷える
これは、もちろん大人にも言える事ですが、1日中家で過ごす乳幼児や幼児にとっては何倍も大事なこと!
加湿し過ぎる事や高湿度はよくありません。
その意味でも、他の気化式ハイブリッドの加熱モードやスチーム式と比べて、気化式加湿器は湿度が上がるのに時間を要しますが、50%を優に超えていく能力はないため、
加湿し過ぎになる心配がなく、長時間緩く稼働させるのに適しているため、1日中家にいる乳幼児や幼児のために最適
です。
3)犬や猫|高湿度はペットに大敵。気化式加湿器なら室内の衛生性が安心
体毛の衛生性が悪化
体毛がベタつくと、まず、ハウスダストや汚れがつきやすくなります。
すると、毛を舌で繕っている時に細菌が体内に侵入しやすくなります。
ノミやダニの繁殖
ノミやダニは人間にとっても害悪そのものですが、ペットにはより深刻なトラブルを引き起こします。
なぜなら、
犬や猫は体毛がフサフサのため、『ノミやダニにとっては理想的な住処』となるからです!
すると、犬や猫の体が噛まれ、常に全身が痒いという状況に陥ります。
ASHRAE(アメリカ暖房冷凍空調学会)による『相対湿度と微生物等との相関関係』がここでも重要です。
ASHRAE(アメリカ暖房冷凍空調学会)/相対湿度と微生物等との相関関係
ノミやダニは、湿度50%までは心配が要りませんが、
50%を境に、徐々にリスクが上昇していきます!
しかし、逆に、乾燥のし過ぎもペットにとってよくありません。
- 皮膚の乾燥
- 脱水症状
を引き起こすからです。
その意味でも、『湿度50%』を目指す事が大事です。
他の気化式ハイブリッドの加熱モードやスチーム式と比べて、そこに至るまでに時間を要しますが、50%を優に超えていく能力はないため、実質的にそれくらいの湿度に自然と着地するのがメリットです。
4)高気密のマンションなど、元から湿度がある程度高い部屋では直に最適
再三に渡り、
気化式加湿器は、他の加湿方式と比べて湿度が上がるのに時間を要する
と説明しました。
しかし、元から湿度がある程度高い部屋では、この問題を考える必要はありません。
加湿に要する時間をショートカットできるからです。
高気密のマンションなどがその一例ですが、
- 暖房をつけた事による目減り分を補いたい程度
- 現状が乾っからという程ではないため、湿度上昇が緩やかで構わない状況
というニーズなら、気化式加湿器が最適です。
【まとめ】気化式加湿器を活かすための3条件は必ず理解しておいてください


『気化式加湿器を活かすための3条件』は、以下の3つでしたね!
- 長時間稼働させてナンボ
∵パワーや即湿性はなく、それを期待する方式でもない - 室温を常に20℃以上に保ち続ける
∵20℃を下回ると、ほとんど機能しない - 設定風量をできるだけ強くすること
∵風量の大小が気化効率を左右する
逆に言えば、これを理解せずに気化式加湿器を使おうとするのは無謀なのでやましょう(笑)
気化式加湿器を選択する場合|ダイソン加湿空気清浄機PHシリーズ一択でいくべき


詳細解説は別記事で解説していますが、
結論を言うと、



「ダイソン加湿空気清浄機以外の気化式(気化式ハイブリッドを含む)を使うと、1台たりとも例外なく本体内が雑菌やカビだらけになります。
そして、その雑菌やカビは風に乗って部屋に撒き散らかされるため、室内環境が悪化の一途を辿ります」
詳細は、下記の2記事を読んでください。
日本メーカーの気化式加湿器(気化式ハイブリッドを含む)の不衛生さを理解するなら
P.S.『加湿空気清浄機』と書いていますが、構造上、そのままもれなく単体の気化式加湿器(気化式ハイブリッドを含む)にも当てはまるのでご安心ください!


唯一、衛生的に使い続ける事ができる気化式加湿器|ダイソンPHシリーズの解説
P.S.『加湿空気清浄機』となっていますが、単体の気化式(気化式ハイブリッドを含む)には1台も衛生的に使える製品がないため、衛生面を大事にする方はこちらを検討してください。


本日は以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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