ワタルブログ Written by Wataru Yamazoe

日本メーカーの空気清浄機のデメリットは、『日本電機工業会』の存在

空気清浄機

 

日本メーカーの空気清浄機を検討している人「空気清浄機といえば、シャープ、ダイキン、パナソニックがすごく有名だけど、最近はいろんな新しいメーカーも出てきているしなぁ。それでも、日本メーカーの空気清浄機は優秀なのかなぁ」

こういった疑問に答えます。

この記事を書いた人

空気清浄機、加湿器、除湿機など空調家電のエキスパート。現在も、空調家電販売の第一線で活躍中。

“空気” が大好きで、休みの日でも勉強や追求に余念がない。

根が “健康オタク” でもあるため、「空調家電は健康や命に直結する」と一貫して主張し、衛生的に配慮のない製品には、「使う価値がない」と厳しく意義を唱える。

 

一般社団法人・日本電機工業会とは?

家電製品は、販売前に、製品試験を実施します。

日本メーカーの空気清浄機や加湿器などは、『一般社団法人・日本電機工業会』が策定した試験方式で試験をしています。

»一般社団法人・日本電機工業会

今回は、空気清浄機の試験方式の内容を説明していきますが、

その前に、“試験方法を作った日本電機工業会がどんな組織なのか?” を理解しておいた方が、のちに説明する試験の中身も理解しやすいと思います。

よって、まずは、日本電機工業会の説明からしていきます。

日本電機工業会とは?

『日本電機工業会』は、“家電や電機メーカーの寄り合いで作られた親睦会”です。

» 一般社団法人 日本電機工業会

会長はもちろん、20名ほどいる理事には、名だたる家電や電機の企業の社長や執行役員の方々が名を連ねています。

家電・電機業界を代表したお偉いさんの “オールスター組織” です。

そのオールスター達が、自分達の所属する会社の日本製品がより見栄え良くなるように、 自分達でルールを作り、それをもって、“ほぼ全ての日本メーカー” に統一の運用・記載をさせています。

その代表例が、今回のテーマである『試験方式:JEM1467』です。
 
要するに、

代表会議でルールを決めてきたから、“それを守ってやるように” 的な感覚

です。

“統一の運用・記載” というと聞こえはいいかもしれませんが、

製品の価値を忠実に測るよりも、カタログや製品情報に載せるスペックが見栄え良くなり、製品がよく売れるように厚化粧させようと、自分達にとって都合が良い規格・基準を自分達で策定して、それをもってテストしたことにしているので、

初めから“出来レース” のようなもの。

つまり、

日本電機工業会は身内組織であり、自分たちに優しく、消費者に厳しい組織です。

 
普通、公平を図るために、第三者機関の試験で客観的に試験をしますが、各社を代表した “偉いさんたち” が作った規格で試験をしています。

そのため、自分たちでルールが決められるから、自分たちに都合が悪い規格を設けたり、テストをしたりはしません。

では、JEM1467の中身を見ていきましょう。

消費者を嘲笑う 『JEM1467』 の問題点

日本電機工業会が規定する【空気清浄機の 『吸い込みと捕集』 の試験方式】が、JEM1467でした。


引用:ダイソン空気清浄機/カタログ

【JEM1467の試験方法】
【試験室の構造】
8畳(13㎡),天井高2.5m
試験をする空気清浄機を置く
試験室の真ん中にポールを立てる
センサーは、試験室の真ん中に1つだけ設置
天井に、かくはん機を設置
【試験方法】
時間は 30分
粉じん濃度1.25mg/㎥の空気の汚れを、0.15mg/㎥まで清浄できる時間を計測。
つまり、初期濃度の12%になるまでの清浄速度を算出。

JEM1467『試験室の構造』の問題点

1)8畳(13㎡),天井高2.5mの狭い試験空間のみ

カタログや製品情報に記載されている空気清浄機の適用床面積が、 大きかろうと小さかろうと、このテストしかしていません。

2)センサーは、試験室の中心のみ

これでは、試験室の中心付近が、きれいになったかどうかが分かるだけです。

3)部屋の四隅に、センサーがない

『センサーは、試験室の中心のみ』の話と連動しますが、部屋の隅々まで、きれいになったかどうかは分からないし、そもそも、わずか8畳程度の狭い部屋にも関わらず、そこまで問題にしていない “ざっくりさ” が問題です。

4)適用畳数の目安には、全くならない

空気清浄機が大きかろうと小さかろうと、“8畳の真ん中のセンサー検知範囲のみ” を 『初期濃度以下』 にまできれいにできたかどうか?しか分かりません。
(※『初期濃度以下』の意味は、後述します)

日本メーカーの空気清浄機のカタログに、『8畳○分』と書いていますが、8畳とは、このテスト結果を直接反映させた数値です。

5)リビングで使いたい人の指標は、何もない

そもそも、8畳しかテストしていないし、かつ、試験室の真ん中にセンサーを1つ置いただけのテストで、どうやって、(自ずと、8畳よりも広くなる)リビングの適性を判断しますか?

6)かくはん機を回して、インチキをしている

天井で 『かくはん機』 を回しています。

初期濃度以下になるまで、空気清浄機が全て吸い込んでいるように見えて、実は、かくはん機のおかげで、大半を “センサー検知外” に飛ばしています。

これを『自然減衰』と言います。
(※『初期濃度以下』の意味は、後述します)

JEM1467『試験方法』の問題点

1)試験に用いる粉じんのサイズも量も発表していない

<フェアではない試験>

【粉じん数】
例えば、100個なのか、あるいは、10,000個なのかによっても、試験の難易度が変わってきます。

【粉じんサイズ】
例えば、花粉相当サイズのPM10(1mmの100分の1)なのか、あるいは、HEPAフィルターの集じん限界サイズであるPM0.3(1mmの3,000分の1)なのかによっても、試験の難易度が変わってきます。

つまり、より集じんしやすいか、あるいは、集じんしにくいか。

よく分かりません。
 
しかし、製品カタログや掲示物に掲載する数値の見栄えが映えるように、自分たちで規格を設けている以上、

  • 【粉じん数】少なめ
  • 【粉じんサイズ】大きめ

であることが、容易に推測ができます。

2)30分以内に到達すべき『粉じん濃度』だけ明らかにしている

【センサー検知可能範囲の初期濃度の『12%』になるまでの速さ】

<開始時点>
粉じん濃度1.25mg/㎥の粉じん数

<ゴール>
0.15mg/㎥の濃度まで清浄すること

<目的>
ゴールラインまでの清浄時間を計測

初期濃度の 『12%』 になるまでの清浄速度を算出。

言い換えれば、最初に投入した粉じん数が、センサー検知範囲において、12%にまで減少した。

すなわち、88%吸い込むか、あるいは、センサー検知外に飛ばしてしまえばOKで、 『12%』 になるまでの速さが速ければ速いほど、“計算上の推測値” で大きい 『適用床面積』 が与えられる。

つまり、風量が強ければ強いほど、大きい適用床面積が与えられる。

ほとんどの日本メーカーの空気清浄機の適用床面積は、アテにならない

仮に、カタログや製品情報に適用床面積「30畳」「40畳」と書いてあったとしても、何のアテにもなりません

強いて言えば、日本メーカー各社、同じテストを受けているので、

「0.3μmの粒子を99.97%集じんする」HEPAフィルターを搭載した空気清浄機同士を比較したならば、

『8畳○分』の時間が小さいもの、あるいは、『適用床面積○畳』が大きいものほど、モーターが大きいので、風量が強く効率的

だと言えます。

しかし、分かるのはそれだけです。

速さを求められた空気清浄機の悲劇

かくはん機の利用も含め、いかに、時間をかけずに、センサー検知範囲の初期粉じん濃度を12%以下に持っていくか?

これが、日本メーカーの空気清浄機の根本的な製造思想です。

そのため、『JEM1467』 を試験規格の中心に据えている、特に『日本メーカー』 は、“吸い込みと排気を、30分以内に何回もぶん回す” 発想で作られています。

よって、それを可能にするため、本体にできるだけたくさんの隙間を設けています。

なぜなら、“空気の通り道” が広くなり、吸い込みと排気がスムーズにいき、JEM1467の試験で良いスコアが出せるからです。

つまり、あくまでも、身内の偉いさんたちが決めた出来レース試験で良いスコアを出すことしか考えていないため、本体とフィルターとの間の気密性(=密閉性)が犠牲にされています。

いわゆる、 本体内部はスカスカだということです。

分かりやすく言うと、

気密性を犠牲にすることにより、空気の流入と流出が活発になり、風量も上がるが、その結果、汚染物質の捕集力が落ちた漏れまくる空気清浄機

になってしまうということです。

本来の “空気清浄機らしい在り方” とは、かけ離れた日本メーカー

“本来の空気清浄機らしい在り方”を追究していくならば、

いかに、室内の汚染物質を吸い込み、捕集し、そして、再び、室内に漏らさないように、いかに『密閉性』を高めていくか?

僕は、そう考えています。

しかし、日本メーカーは、

いかに早く、8畳の中心1点の “センサー検知範囲” だけで高スコアを出すか?

それし考えていないし、

それしか評価方法がないため、密閉性を高めた本来在るべき空気清浄機を作っては、JEM1467の試験方式では良いスコアが出せません。

よって、

風量は強いが、“微粒子を漏らしまくりのスカスカな空気清浄機”

となってしまうわけです。

これは、シャープ、ダイキン、パナソニックなど、メーカー名は問いません。

ほとんど全ての日本メーカーの空気清浄機の実態です。

そして、いかに、日本メーカーが消費者の方など全く向いておらず、自分たちの会社を代表する “偉いさんたち” が作った試験で、高スコアを出すために製品化しているかの実態です。

【まとめ】 結局、ほとんどの日本メーカーの空気清浄機は、どれを買っても一緒


所詮、どれも、8畳の試験室の真ん中を、いかにきれいにできるか?

その1点でしか評価していないし、その速さを求める方向性でしか、製品開発していないからです。

結局、適用床面積が同程度の2機種があれば、ダイキンだろうとシャープだろうと、パナソニックだろうと、差はありません。

日本メーカーの空気清浄機の限界

しかも、日本の家電製品は、公益社団法人『全国家庭電気製品公正取引協議会』という組織の要請に応じて、日本電機工業会は、各メーカーのカタログには、統一的な記載をさせています。

「公正」と言うと、聞こえはいいですが、各メーカーを強制的に横並びにさせるわけですから、競争力が生まれることはないし、製品力が上がることもありません。

現に、日本メーカーの空気清浄機は、毎年、大半が、型番だけを変えて中身は全く一緒で、「新モデル」としているのが実情です。

 
本日は、以上です。
最後までまで読んでいただき、ありがとうございます。
 

【参考記事】“フィルター交換10年”は大ウソ。ここにも日本電機工業会が絡んでいる

“フィルター交換10年” の文言に「お得」「コスト不要で嬉しい」と感じていませんか? もし、そう思い込んで購入を検討しているなら、その検討・購入はやめましょう。これは、空気清浄機・加湿器における業界ぐるみの大ウソ。日本人の「維持コストが嫌」という感情に合わせたマーケティング。購入後、後悔したくない方は必読です。

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